燃費向上

名門大洋フェリーでは1年間航行したフェリーの赤い船底の塗り直しが行われ、作業員がスプレー機で吹き付けるのは、速度を落とす原因となる貝や海藻の付着を防ぐだけでなく、燃費を4%向上させるという特殊な塗料なのだそうです。
塗料を開発したのは、船舶塗料大手の日本ペイントマリン。
船底塗料は、塗装後に徐々に溶けだすことで貝や海藻の付着を防ぐ有機スズ化合物が1970年代から使われてきましたが、、内分泌かく乱物質にあたるとして90年に製造や輸入が禁止されたため、同社では同様の効果がある銅アクリルを代替塗料に採用、99年からは大阪大、神戸大と共同で、燃費向上の研究も始めました。

そこで着目したのが、マグロやイルカの皮膚でした。
最高時速160キロで泳ぐマグロは粘膜で覆われ、イルカは平らで弾力性があり、粘性がありながら、平らな表面という特性を生み出すため、昆布のぬめりのような多糖類を原材料に、銅アクリルとの混合比率などを変えて約5000種類を試したということです。
表面の粘性と滑らかさを同時に実現するまでに6年を要し、表面にできる微細なくぼみに海水を取り込む仕組みで、摩擦抵抗を大きく減らすことに成功しました。

こういった開発は動物や植物など、自然からヒントを得ることが多いので、やはり自然の力は凄いと思いました。
今、特に一生泳ぎ続けるマグロの特性、蜘蛛の糸などが注目され、医療や化学に役立てようと研究が進められているようです。

船底なめらか 燃費向上(読売,2009/07/06)